イオン・チャネル
関連概念 : 生物学

[ion channel]

イオンチャンネル。イオン・チャネル。イオンチャネル。
アクアポリンと同様、チャネル型の膜輸送タンパク質の一。

生体膜の受動輸送を担い、能動輸送を行うイオン・ポンプ同様、特定のイオンを通す機能を持ち、神経細胞活動電位の発生のもととなっている。
イオンチャネル遺伝子の突然変異は、多様なチャンネル病の原因となる。

パッチ・クランプ法でチャネル一開閉の際に流れる電流を計測することができる。

【分類】

  漏洩イオン・チャンネル(リーク・イオン・チャンネル)

 ◆機械的刺激依存性イオン・チャンネル
 ◆電位依存性イオン・チャネル voltage-gated
   ・Naチャネル
   ・Kチャネル
   ・Caチャネル
   ・Clチャネル
 ◆イオン依存性イオンチャネル
 ◆リガンド依存性イオン・チャネル ligand-gated
   ・伝達物質依存性イオンチャネル
   ・ヌクレオチド依存性イオンチャネル

 ○カチオン・チャンネル(陽イオン・チャンネル)
   ・Naチャネル
   ・Kチャネル
   ・Caチャネル
   ・非選択性陽イオン・チャンネル(非興奮性細胞に見られる)
     ・AMPA受容体(Na+,K+)
     ・NMDA受容体(Na+,K+,Ca2+)
 ○アニオン・チャンネル(陰イオン・チャンネル)
   ・Clチャネル

 ◆ギャップ結合チャネル

【遺伝子】

Kチャネルは、類似した4つのサブユニットがhetero-tetramerを形成しているため、遺伝子との1対1対応がつきにくいが、CaチャネルNaチャネルは、単独遺伝子によっているため、対応がつけやすい。

 命名法
  Na_t(m.n)
   t : タイプ(ex. v=電位依存性, ir=内向き整流性)
   m : 相同性の高いグループ名
   n : グループ内番号

【特徴】

 ◆選択的透過性
 ◆エネルギー
   ・ネルンストの式に従った電気化学ポテンシャル(濃度勾配と電位勾配)
   ・イオンの移動によって水分子も移動
     イオンには分極した水分子が電気的力で結合するため
       NaよりKが半径大(Kの電気力弱く少ない水分子と結合)
         腎臓尿細管はNaを吸収してKを排泄
          (水再吸収機能)
 ◆conductance(γ)
   ・Q10=1.2-1.5(温度
    (Hodgkin,1952; Frankenhauser&Moore,1963)
    (Beam&Donaldson,1983; Schwarz,1986; Milburn,1995)
   ・i=6.6pA程度、41*10^4 ions/ms(Sanchez,1986)
   ・イカNaチャネルで10pS、BKチャネルで200-300pS(最大)
   ・非透過イオンによるポアの部分的ブロック
   ・ポア内の非均一な電場(局所電荷によるpeaksとvalleys)
   ・透過イオンによる透過度の飽和
      ポアサイズ小さいので拡散は最大10^8ions/sec
       (Hille,1992; Doyle,1998)
   ・モデル
     ・HHモデル(Hodgkin&Huxley,1952)
     ・GHK式(特にCaチャネル
 ◆ゲート電流
   (Jahr&Stevens, 1987; Fenwick,Marty&Neher, 1982)
   膜(チャネル)内部の電荷が移動(以下の式で電荷推定)
    O/C = exp[- (w-zqE) / (kT) ] (ボルツマンの式
    (w: E=0の際の開口によるエネルギー増大)
    (-zqE: 電位差依存で開口によるエネルギー増大)
      (z: ゲート電荷; q: 単一電荷; E: 細胞内電位)
 ◆kinetics
   ・イオン移動の速度はトランスポーターなどの100倍以上
   ・rates of gatingはQ10=2-4(温度
    (Hodgkin,1952; Frankenhauser&Moore,1963)
    (Beam&Donaldson,1983; Schwarz,1986)
   ・開閉は離散的(状態移行はμsオーダー)
     独立に開閉する(マルコフ過程)とすると
      I=Npi(I:総電流, N:数, p:開確率, i:単一チャネル電流)
   ・1次微分方程式(Neher&Stevens,1977; Colquhoun&Hawkes,1981; DeFelice,1981)
   ・複数の開レベルを示すものも(substate)
     ・グリシン受容体GABA受容体
      (Bormann,Sakman,1987; Hamill,Sakmann,1983)
      (Smith,McBurney,1989; Takahashi,Momiyama,1991)
     ・興奮性アミノ酸受容体(Cull-Candy,Usowicz,1987)
     ・アセチルコリン受容体(Hamill,Sakmann,1981)
     ・NMDA受容体(Jahr, Stevens, 1987)
   ・バースト状開口
     ・自律神経節のアセチルコリン受容体
     ・ホールセル電流の下降相で複数の指数関数を当てはめる必要
       (Rae, Cooper, Gates, Watsky, 1991)
   ・openとinnactivationが独立することも
     openしてないのに不活性化することも
   ・openが断続的に続くことも(チャタリング)
 ◆電位依存性
   ・電位とコンダクタンスの関係は非線形
      ・両側の濃度勾配による整流性
      ・ポアにはまったイオンがチャネル電流抑制
 ◆マクロ
   ・ポアソン分布
      平均n/AZ個のチャネルが開口するなら他の個数の確率もわかる

【メカニズム】

 ◆分子物理
   ・chain-ball model
     はじめshakerを用いたtrangent K+ channelで確認された
     chain長を短くすると過分極までの時間が短くなるという研究
 ◆ボルツマンの式
 ◆HHモデル
 ◆[Ca]iも考慮に入れた式(Moczydlowski&Latorre,1983)
 ◆構造
   ・H2O
   ・氷
   ・ゲル

【解析】

 ◆単一チャネル電流の推定
  ・ノイズ解析(二項分布を用いて電流の平均分散から推定)
    ・定常ノイズ解析(stationary noise analysis)
      異なる電位パルスを与えて電流が定常に達する100msほど後の測定
      (Conti, Hille, Neumcke, Nonner, Stampfli, 1976)
    ・非定常ノイズ解析(non-stationary)
      -5mVへの膜電位固定法による時間経過を測定
      (Sigworth, 1980)
  ・スペクトル解析
    定常状態ノイズのパワースペクトルを高速フーリエ変換で解析
      (Anderson & Stevens, 1973)
 ◆構造解析
 ・AFM(atomic force microscopy)

【文献】

  B.Hille 2001. "Ion Channels of Excitable Membranes".
  Johnson and Wu. 1994.
  Kaila and Ransom. 1998.
  Koch. 1999.

2011/05/21 masashi tanaka

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