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段物
関連概念 : ジャンル 日本語

[danmono]

箏曲のうち、もともとの演奏技法を学ぶための楽曲であったと言われ、高度な演奏技巧を要求するようになったもの。

箏の器楽曲の古典曲で、純粋の器楽曲の大部分は、現在、「段物」もしくは「調べ物」の名で統括される楽曲である。

【構造】

段物は、「段」と称する幾つかの部分に分けることが可能で、しかも、乱輪舌などの例外を除いて、各段が 52拍子(104拍)と定められている。
ただし、初段だけは54拍子ないし55拍子(八段)である。

同一調弦による同一段数の楽曲は一つもなく、したがって、その総曲数はそれほど多くはない。

【歴史】

段物の伝承は組歌の伝承に付随して行われ、「付物」(つけもの)ともいわれた。

組歌に伝授上の表・裏・中・奥といった組織がある以上、段物にもそれに準ずる組織があった。
しかも、そうした伝授組織の相違が、いわゆる流儀を生み、生田流・継山流(つぐやま)・八橋流(新八橋流)などの流儀によって、曲名・組織に異同があるのみならず、段物とされる楽曲そのものに、特に、継山流・八橋流に、特殊な曲が存在していた。

段物は、次第に三絃歌曲化がなされて行ったのみならず、これらの三絃曲には、その替手も作られていった。
その中で、明らかなのは『六段』の三弦の替手であって、その本手が本調子であるのに対して、国山勾当作曲の三下り替手が作られていることが『新選箏譜』に示されている。
この『三下がり六段』をに移したものが、の『六段』の替手として用いられる『雲井六段』である。

このように、段物は、三味線の合奏から、三味線本手替手の合奏、そして本手替手の合奏へと発展して行ったものと思われる。

【具体例】

 1『六段』(八橋検校、北島検校?、54、52*5)
 2『八段』(八橋検校、倉橋検校?、55、52*7)
 3『乱輪舌』(八橋検校、倉橋検校?、乱・十段の乱・十二段すががき)
 4『九段』(不知、北島検校?、54、52*8)
 5『七段』(不知、安村検校?、54、52*6)
 6『五段』(生田検校又は北島検校、富野勾当?、54、52*4)
 7『雲井九段』(三橋検校、三橋検校?、54、52*8)

八段』は、『六段』や『七段』などと同様、「八段調」(はちだんのしらべ)「八段之調子」(はちだんのしらべ)とも言う。

乱輪舌』だけは、段の分け方が一定しておらず、しかも各段の拍数も定まっていないが、他は、その曲名通りの段数を持つ。

本雲井調子の『雲井九段』以外はすべて平調子の曲である。

段物の作曲者については、『箏曲大意抄』の奥書の記事に記されたことが最も通用しているが、『弥之一蔵板本』(1822年刊、「砧」の譜を収載、1827年に『新琴曲集』として再版されたものらしい)には、『箏曲大意抄』とはかなり異なる説が記されているため「?」を付して記した。

【三絃化】

段物に三絃がつけられたものは、「すがかき」をつけて「六段すがかき」などと呼ばれる。

 1 六段すががき(深草検校)
 2 八段すががき(津山検校)
 3 十二段すががき(生田検校)
 4 りんぜつ(みだれ)(深草検校)
 5 三段すががき(伊勢屋みほ)

このうち『六段すががき』には、尾形検校作詞とされる前歌・後歌がある。
『三段すががき』は『三段の乱』と同一曲かどうか不明であるが、これにも前歌・後歌がある。

【段物の文献】

段物の曲名が初めて出てくるのは、1755年刊行の『撫箏雅譜集』(ぶそうがふしゅう)であるが、そこには『雲井九段』を除く他の曲がすべて記されている。
1772年に序文が書かれた『琴曲指譜』(京都)と、1779年の序・跋文、及び、1782年の跋文を持つ『箏曲大意抄』(江戸)という楽譜集では『雲井九段』も含まれているが、安村検校(?〜1779)の伝承に基づいて編集された『撫箏雅譜集』が、そのライバルであった三橋検校(?〜1760)の作品を除外しているため『雲井九段』の成立年代はその間に限定できない。

段物の曲名を記す古文献を、年代順に記すと、次の通りである。

A 撫箏雅譜集(ぶそうがふしゅう) 1755
B 琴曲指譜(きんきょくしふ) 1772
C 琴曲証歌集(きんきょくしょうかしゅう) 1777
D 箏曲大意抄(そうきょくたいいしょう) 1779
X 歌系図(かけいず) 1782
E 琴曲洋峨集(きんきょくようがしゅう) 1787
Y 新大成 糸のしらべ 1801
F 撫箏雅譜大成抄 1812
G 清箏緑雲抄 1813
H 歌曲時習考 1818
I 弥之一蔵板本 1822
J 新選箏譜 1823

上の中で、Xの『歌系図』には、三弦曲としての「段物」の曲名が記され、Yの『新大成糸のしらベ』には、やはり三弦曲で、しかも歌の付されるものの詞章が収められている。
また、Cの『琴曲証歌集』や、Hの『歌曲時習考』には、伝承の流儀差による特殊な曲も含まれ、Jの『新選箏譜』には、後代の作と思われる特殊な曲の曲名と作曲者名が記されている。

前述の文献中、X・Y・Hを除いてそれ以外の文献は、すべて箏曲の文献なのであるが、さらに、I・Jを除く他の書は、すべて箏組歌本である。
すなわち、19世紀の初めまでは、すでに三弦曲にが合奏されるということはあっても、普通に「箏曲」といえば、「組歌」及ぴ「段物」のことをいっていたのである。

2005/03/07 masashi tanaka
2005/11/19 masashi tanaka

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